「…ずいぶん、遠いのね。」欠伸をしながらふと口からポロリとそんな言葉が出てきた。「……T市にお住まいらしい……です。」「T市!?後二十分もかかるじゃない。んもー、訳わからない!?」T市とは、駅周辺だけが栄えている、市全体の規模はそれなりのところである。「遠いわね。」「……遠いですね。」はかってもいないのに、二人の声が「遠い」と言う部分でハモった。
導火線*’街角掲示板アーカイブ
(西暦2002年-2009年)
総投稿数:15件 豊橋駅東口でサンタクロースが手配り配布する読者投稿型フリーペーパー
ハンドルネーム: 燿椰 の投稿を表示中
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そして、次の日。時は、鶏が時を告げる早朝の時間帯。「……おはようございます…お迎えにあがりました。」「…うにゅ…わかったわよぅ。」玄関でけたたましく鳴るベルで目覚め、朝一番から不機嫌そうな返事をする郁美。「あぁもう、五月蝿いったらかなわない。第一、隣近所にも迷惑なのよ…何考えてるのかしらね、まったく…。」朝食には早すぎる食事をゆっくりととり、服を着替え、化粧をし、歯を磨き、髪を整える。それらの行為を一つも欠かすことなく、手際よくこなし、チャイムがうるさいという理由で車に待機させた、降人の元に向かう。「対話?」「……ええ。相手方があなたを……指名したそうで……。」降人の一言に、不思議と驚きの入り交じった表情をする郁美。現在二人は、車の中で相手方との話について段取りを話し合っていた。「……相手の方も作家……の様なので、話は割と……簡単に弾むのではないかと……。」運転する手を休めずに、気休めのような言葉を並べる降人。「それだけ簡単に話ができてるんなら、物語のネタなんかこれっっぽっちも浮かばないってことがあり得ないわよ…はぁ。」郁美は助手席に座り、リラックスした姿勢でまっすぐ前を向きながら、そう言った。
たまには普通の投稿をしてみた燿椰です。最近、風がひどいですね。とよばしの上などは特にひどくて、前に進もうとしても、右へ左へものすごい力が働き、思うように進めません。そういうときに、愛車である、自転車の「銀(しろがね)」(なぜか名前が付いてます。笑)の前輪が、普段の少々無理な乗り回しから微妙に歪み、フレームに接触する事故が発生。結果、車輪に摩擦が起こり、三段階変速のペダルが、普段よりそれぞれ一段階ほど重いように感じるアクシデントが。橋はアーチ状になっており、渡るためには「坂を上り、下」らなければなりません。しかも時間帯は夕方。残り体力が少ないのに、筋肉を酷使する羽目になりました。(涙)受験の時には、こんな二重・三重のアクシデントに絡まれたりする事がありませんように!と、湿布を患部に貼りながら願う燿椰でした。
「…面会?あなたの面会だったら、わざわざアポを取るまでもないじゃない。」「いえ…私ではなく……我が社の別の……有名作家とです…コラボレーション企画が……あがっているので。」説明の言葉をもう少し考えて選んでほしいものだ、と考えながら郁美は…「ふぅん。で、いつなの?」七月と八月のカレンダーを交互に見ながら、面倒くさそうに聞いた。「……明日です。」「…はぇ?」予想もしない答えに、素っ頓狂な声を上げ、「そりゃ、確かに七月中は七月ちゅ…」と言おうとするが、「あぁちなみに…この部屋も少し…使うかもしれない…という忠告も…兼ねて来た訳です…。…今日は…もうそろそろひと嵐…来そうなので…この辺で…。」適当に流すような降人の口調に阻まれたあげく、その内容も、今の自分にとっては非常に都合が悪かった……そう、部屋は紙屑やお菓子の袋などで、想像を絶するほど、散らかっていたのである。「…こ、この…疫病神!」そう叫びながら、いそいそと去ろうとする降人の頭に向かって、超ビッグな(大きさ1.2m)うさぎのペーターラビットのぬいぐるみを、力の限り投げつける。爽やかなクリーンヒットだった。
その後、山茶花亭でいろいろ話して(主に紗綾と郁美中心)、帰宅は夕方近くになっていた。「ただいま…って、誰もいないんだったっけ。」玄関で、今日も履いていった、いつもの履きなれた一組の靴をきれいに整頓し、仕事部屋に入る。そして、いつも癖でやるように回転するいすに座って、ゆっくり半回転しながら両手を頭の後ろで組む。郁美の、「思案中」の癖のようだ。「夏休み…かぁ~。今考えてみると…はわぁ~、お抱えの仕事がまだまだ残ってる…八月中に…ひとつ…かな。」先ほどの姿勢のまま、さらにいすを三十度ほど回し、視線の先にあるカレンダーを見て呟く。「あなたに…夏休みなどと言う…大層なものはありませんよ。」そこへ、彼女の視界を遮って、「やっちゃん」こと、編集者「降人」が絶望的なせりふとともに現れた。「…言われなくてもわかってるわよ。というか、うら若き乙女の部屋にノックもなしで何の用?今はこれと言って〆切ギリギリ格闘の時期じゃないはずだけれど?」対抗して早口でまくし立てる。ひょっとしたら、彼が部屋に急に現れた驚きを隠すためにそうしているのかもしれない。「……会社の命令で…七月中に…面会のアポを取ってこい…このように言われたものですから…。」それに対して降人は、リラックスできる雰囲気が漂うプライベートな空間にいながら、いっさいそんな雰囲気を見せずに、話の核をさっと取り出してきた。
あらすじは、高校生の売れっ子小説家「早坂郁美」が体験するひと夏を追った話です。
タイトルは、『ひと夏の想い出~モノ書きに必要なコト~』です。
学校近くの喫茶店「山茶花亭」にて…見晴らしのいい席を陣取った三人。しばらくは三人とも、無言でパフェを突っついていたが、「それにしても、あんたが補習ねぇ…なんか、してやったり、みたいな♪」七海がうれしそうに会話の口火を切った。「ちょっと七海、生クリーム飛ばしながらしゃべらないでよ~。汚れるじゃない。しゃべるか食べるかどっちかにしてよ。」「えと…落ち着いて、しっかり味わった方がいいですよ。」二人の呼びかけもむなしく、店を出るまで、彼女のその姿勢は直らなかったようだ。理由は本人曰く、「ホイップクリームがおいしかったから仕方ないのよ♪」本日の一言…親友・七海の答えには、時々思考回路の構造を疑いたくなるような答えがある。by早坂郁美「ところで、夏休み、どうするつもりなの?予定、聞きたいな。」落ち着いた頃に(七海の生クリームとばしの被害がなくなってきた頃)、話のさわりを切り出した郁美。「海いこ、海!」「えと…海ですか…いいですね、海。じゃあ、今度までに手配しておきますね。」「わーい。」純真無垢に、三等身くらいのキャラクターになって喜ぶ七海。それに待ったをかける郁美。「いや、ちょっと待って…今、何か間違ったフレーズが聞こえてきたような気が…。『手配する』って…?」「あの…その…企業秘密…です♪」郁美の冷や汗の疑問に、少しぎこちない笑顔で返す紗綾。本日の一言②…独特の雰囲気を持つ人は、家柄も独特であるby早坂郁美
「な~な~みぃ~?」それに対し、七海は「そうそう。悩んでるよりは呆れなさい。悩んでると…皺、できるわよ?は・や・さ・か・さん?」一言めをおおらかに、二言めを呟いて、郁美に語りかける。「よ、余計なお世話っ!皺くらい、年食えば増えるじゃないの!今増えたって、結局最後にはみんなシワシワのおばあちゃんになるんだから気にしなくていいのっ!」郁美がそう叫んで、その様をまた七海がからかおうとすると、「あの…私たち、夏休みをどうするかを…郁美ちゃんに相談するために…ここに来たんです。」このタイミングで、話の腰を折るように、紗綾が話を振ってきた。「へ?あ、そうなの…。」郁美は、急に肩すかしを食らったようにきょとんとなった。そこに、さらに、ほんわかとした笑顔で…「立ち話も何ですから…喫茶店にでも…行きませんか?言い争いなんてやめて…ね?」「うん…そだね。」「おそるべし、ヒーリングスマイル…。完敗だわ。」続いていた掛け合いに…とどめを刺した。そのまま紗綾のペースに巻き込まれ、三人は学校の近くにある喫茶店へ行くことになった。
今回は、試験があったので少々量が少ないです。次回はもっと量を多くしますので、お楽しみにしていて下さい。